特別講義編

アフターコロナのイノベーションと経営戦略《後編》

社会イノベーション学部 政策イノベーション学科(戦略領域)

遠藤 健哉 教授

リアルとネットを融合するビジネスモデルの創造

これまで外食企業や小売企業などは、より多くの顧客を実店舗に呼び込むことで利益をあげてきました。しかし変化に敏感な企業は、感染予防という新たな制約条件のもとでネット通販を強化すると同時に実店舗の存在意義や販売方法のあり方を問い直し、リアルとネットを融合させる新しいビジネスモデルの創造に取り組み始めています。

ユニクロは実店舗を情報収集の「実験店」に、TikTokはライブコマースに参入

たとえばユニクロを展開しているファーストリテイリングは、デジタル技術との融合により実店舗の機能をいち早く見直そうとしている企業の一つです。先ごろ開設された「スタイルヒント原宿」は、顧客がどんな着こなしを好み、どう並べれば商品が売れるのかなどの情報を様々な仕掛けを通じて収集する「学びのための実験店」として位置づけられています (※1)。

また、「TikTok」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が小売り大手の百聯集団と組み、生中継で商品を売る「ライブコマース」に参入した試みも興味深い事例です。TikTokは、動画投稿とネット通販の注文・決済の機能を自社サイト内で完結できるように変革することで、デジタル技術を活用しながらリアルな対面販売の良さを生かす方策を探っているのでしょう (※2)。


※参照

  • ※1「コロナエフェクト 実店舗の役割 販売から脱却」『日経ビジネス』2020.06.22, pp.12-13
  • ※2「ライブ通販挑むTikTok-会員4億人活用、収益の柱に」『日経新聞』2020/06/26

新ベストミックスとしてのイノベーションのカギは経営戦略

デジタル化を推進すると同時にリアルな活動を再評価していくという企業の知恵比べは、今後もあらゆる業界を巻き込んで広がっていくと予想されます。しかし、先行き不透明なアフターコロナの世界で新たなベストミックスとしてのイノベーションを探し出すことは、簡単ではありません。企業がこうした難しい挑戦を効果的に進めていくためのカギになる要因の一つは、経営戦略です。経営戦略とは、経営学における重要な概念の一つで、企業の将来のありたい姿とそれに到達するための道筋を示すものと定義されます。

将来像を明示・共有して多様な知恵を結集することの大切さ

新たなベストミックスとしてのイノベーションを実現するには、自社がこうありたいと思う姿を社内外に示し、共有することが肝心になります。経営戦略を明確にすることで、国境や世代など社会に存在するいくつもの壁を超えて多様な知恵が結集されれば、ありたい姿を具現化するための道筋もより明瞭になっていくのではないでしょうか。アフターコロナに向けて先の見通しにくい時代(いま)だからこそ、新しい時代を切り開くための経営戦略を若い皆さんとともに描いていきたいと思っています。

アフターコロナのイノベーションと経営戦略[前編を見る]

このテーマを成城大学で学ぶならこの授業がオススメ!

社会イノベーション学部の戦略系科目、例えば「イノベーション戦略論」、「グローバル・イノベーション・マネジメント論」など、さらに外部企業とのコラボを通じてイノベーションによる社会課題の解決を実践的に探る「社会イノベーション特殊演習」がお薦めです。

高校生へのメッセージ

興味を持ったことには、失敗を恐れずどんどん挑戦し、試行錯誤を重ねてください。また、気の合う仲間に限らず、年齢、性別、国籍などを超えて多くの人と交流するように心掛けてください。