授業編

英語で卒論を執筆しよう—現代イギリス文学・文化ゼミナール—

文芸学部 英文学科

木下 誠 教授

2年間のゼミナールでの学びの集大成

英文学科の3年生と4年生は、2学年合同のゼミナールに2年間所属して、視野を広げながら研究テーマを掘り下げ、英語での論理的な文章の書き方を学び、ほぼ全員が英語で卒業論文を完成させます。論文とは、自分が立てた「問い」に対して「答え」を導き出すためのプロセスを言語化したものです。課題解決型学習(PBL)が社会から求められている昨今、卒業論文はまさしくPBLの成果です。

知識、分析力、そして英語力を磨いて論文を執筆

そのために必要なのは、まず知識。今すでに関心を持っている事柄を新たな視点から捉え直すための知識と、まだ知らない・経験していない事柄に新たな関心を向けるための知識です。また、英語と日本語の文章を読んで理解し、ときに批判的に考察して自分の考えをまとめる分析力や構想力も必要です。AI技術が発展しつつある現在ですから、教育上のルールに従ってさまざま〈ツール〉を活用しつつ、自分で自分の英語力を伸ばしながら英語を書くスキルも身につけます。論理的な英語を書くためにアカデミック・ライティングの基礎を学び、それを実践します。

卒論論文の事例1:20世紀イギリスにおけるジェンダー問題

近年の私のゼミの卒論から2つの例を紹介しましょう。ひとつは、ヴァージニア・ウルフという女性作家の人生と作品を取り上げて、20世紀イギリスにおけるジェンダーの問題を考察した卒論です。「女性が性別を理由に不当な扱いを受ける、また不利益をこうむることに対して声をあげること。そして女性たちがその生の可能性を広げられるように社会を変革していくこと」(清水晶子『フェミニズムってなんですか?』文春新書)という意味でのフェミニズムの思想と運動が、どのように発展したかを跡づけています。

卒論論文の事例2:テロリズムに対する人間の無力感と希望

もうひとつは、イアン・マキューアンという現代人気作家の小説『土曜日』を取り上げて、テロリズムの社会不安とその対応を分析した卒論です。作家マキューアンが2001年アメリカ同時多発テロの直後に新聞に寄稿した声明文に、「愛だけがあり、あとは忘却の彼方に。愛は、乗客たちが殺人犯たちに対抗できることのすべてだった。」という表現がありました。ゼミ生はそれに着目し、テロを本質的に無力化・無効化することの意義とその困難さを、小説がどのように表現しているか考察しています。

高校生へのメッセージ

英文学科は英語での卒論の執筆を目指し、卒業間際まで少人数制の丁寧な英語の指導を継続します。自ら課題をみつけて解決し、説得力をもってまわりの人たちに伝える英語力を養います。ぜひ一緒に取り組みましょう。

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