授業編

契約を結ぶってどういうことだろう?

法学部 法律学科

池田 雅則 教授

キーワード

社会の中で他者と「取引」をするとは?

人は、その人一人が存在するだけでは生きていくことができず、他の人がいて初めて生きていくことができる。その意味で、人は他の人とともに社会を構成し、その社会の中で、他の人と「取引」をすることが必要となる。
では、この取引はどのようにして行うのだろうか。社会におけるルール(法)の視点からは、この取引のために人は他の人と「契約」を結ぶ必要がある。たとえば、他の人が持っている物を自分の物にしたいのであれば、「売買契約」という契約を結ぶ必要があり、少しの間だけ使うことができれば良いのであれば、「賃貸借契約」という契約を結ぶことになる。さらに、自分の物にするために必要なお金を手に入れるためであれば、「消費貸借契約」という契約を法は用意している。

約束の水掛け論の防波堤

たとえば、売買契約は、他人の物を自分の物にすることと、その代金を支払うということを内容とする約束である。もちろん、友達と食事に行くという約束とこの契約とは同じ約束である。したがって、口頭での約束、つまり口約束で契約をすることもできる。ただ、実際の社会では、重要な契約ほど書面を使って、つまり契約書を作って、契約する。なぜなら、口約束では、契約したかどうか(約束したかどうか)自体が争いになったとき、「約束した」「していない」という水掛け論になってしまうから、重要な契約では、契約したかどうか、その契約の内容について、後日争いが起きないように契約書が作られている。

友達との約束は倫理的に守るべきもの

では、友達との約束と契約は全く同じなのだろうか。実は、少し違う。それは、「法的に意味がある」約束かどうかという点であり、これは、約束が守られなかったときに、意味を持つ。たとえば、売買契約で買主が代金を支払わなかった場合、売買契約が守られなかったことになるが、この場合、裁判所(国)が売主のために代金を取り立ててくれることになる。売主が買主に売った物を渡さなかった場合であれば、裁判所が売主から物を取り上げて渡してくれるか、物に代わるお金を取り立ててくれる。他方、友達との約束では、このようなことは起こらない。つまり、この点こそが、法的に意味があるかという違いによっているのである。

18歳以上の成人に必須の知識

契約という方法で、われわれは社会において活動しており、それなしではもはや生きていくことはできない。その意味でも、契約という社会を生きていく上で必須のツールを十分に理解することが求められている。

高校生へのメッセージ

法学部で学ぶ法とは、社会におけるルールです。そして社会を構成するのは人です。人が何を考え、どう行動するのか、行動したりしなかったりは何が契機となっているのか。人の行動やその動機、思考方法に興味を持つことをおすすめします。

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