授業編

株式会社とファイナンス

経済学部 経営学科

紺野 由希子 准教授

キーワード

ファイナンスとは何か

しばしば株式会社は人類最大の発明の一つであると言われますが、なぜでしょうか? 今回はファイナンスの視点から株式会社の仕組みを読み解いていきます。まず、投資家の投資判断、証券市場の役割や機能、株式や債券の価格付け、企業の資金調達の判断、企業の投資意思決定など、投資家や企業のお金にまつわる問題を分析する学問を「ファイナンス」と呼びます。

ビジネスの資金調達を支える‘株式会社’の仕組み

ビジネスには巨額の資金が必要ですが、どれほど裕福でも個人の資金量には限界があります。そこで、株式会社という大きな資金を調達する仕組みを作りました。株式会社では、ビジネスの発案者は自分のアイデアを他人に披露し、共同出資で会社を作ることを持ちかけます。それに賛同する投資家は、個人的な財産の余裕に応じて資金を提供し、それに見合った「株式」を受け取ります。ビジネスで儲けが出た場合は株式の所有者に株式の所有数に比例して利益を分配します。このように、均等に細分化された株式によって資金調達を行い、その資金で得られた利益を株主に還元する会社を「株式会社」と呼びます。株式会社の仕組みにより投資家は自身の資金の余裕に応じて投資できるようになります。

異なる役割を果たす発行市場と流通市場

株式は一度発行された場合、発行した企業が買い取る義務はないため、企業の資金量は減らないことから、企業は安定的にビジネスを行うことができます。では、株式を購入した投資家が資金を回収するためにはどのような方法があるのでしょうか?投資家が株式を第三者(他の人)に売ればよいのです。今回は「上場企業」に焦点を当てて説明します。上場企業とは証券取引所に上場している企業のことです。株式市場には、1.投資家が出資金を払い込んで株主になる、企業の資金調達の場の「発行市場」と、2.株式の売買によって株主が交替する投資家の資金回収の場の「流通市場」の2つがあります。上場企業の場合は、この流通市場で投資家が第三者に株式を売却することによって資金を回収することができます。

巨額資金を安定調達できる仕組みが豊かな生活を支える

以上のように、株式会社の仕組みによって、企業は巨額の資金を集めることができます。また、株式会社は一度発行した株式を買い取る義務はないため、企業の資金量は減らないことから安定的にビジネスを行える資金調達が可能となります。企業が巨額な資金を安定的に調達することが可能になったために、株式会社がなかった時代には考えられないような規模の投資が必要なビジネスが生まれて、人々の生活を豊かにしてきました。このため、株式会社は人類最大の発明の一つと言われています。

高校生へのメッセージ

経営学科では、経営学を学ぶ体系的なカリキュラムが整っています。特に、2年次からの演習やゼミナール大会などでは研究した内容をアウトプットする機会もあります。是非、学びを深めてください。

 

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