授業編

人口減少が進む中で日本の持続可能な地域を考える

社会イノベーション学部 政策イノベーション学科

山本 匡毅 教授

「地域の力」が問われる時代

日本では人口減少が進んでいます。2008年から2024年までで、420万人減少しました。人口減少は、労働力不足等によって、地域社会の維持を難しくするため、地域課題となります。人口減少下では、持続可能な地域を考えていくことが大切です。地域社会の維持が難しいのは、特に地方です。地方では持続可能な地域の実現に向けた政策が展開されています。

地域おこしの成否は、自治体のサポートの強さ

九州の中心である福岡市は、国の規制緩和を受け、創業支援施設を新設しました。これにより、85社のスタートアップ企業が誕生しました。福岡市では都市再開発も進めていて、新しいビルには東京から企業が移転してきています。ここで特徴的なことは、起業・創業や、建築物の高さ制限の緩和を行ったことです。この政策は、制度を通じた地域イノベーションをもたらします。また、地方小都市の北海道東川町は、鉄道、国道、上下水道の無い自治体にも関わらず、移住者に人気の町です。人気の理由は、東川町では、町営日本語学校の開設、サテライトオフィスの誘致、地域おこし協力隊を活用した町内での起業支援など、国内外を問わず、やる気のある人を支援しているためです。農業でも農家の生産性を高め、高所得を実現しています。東川町は、住民のやる気を応援する政策が評価されています。

地域を盛り上げ、経済が活性化する仕組みをつくる住民

山間地域である山形県西川町大井沢地区は、人口170人、高齢化率57%の限界集落です。その中で、移住してきた職人たちがグループを結成し、大都市で展示販売会をしています。さらに住民がまちづくり会社を作り、地域にある温泉経営を担い、地産地消の蕎麦屋を運営しています。これは、地域が維持できるように、地域で経済が活性化する仕組みを作ろうとする試みです。

個人の「やりたいこと」を実現できる地域が生き残る

地方で持続可能な地域を実現する際には、自己実現のできる仕事づくりがカギになります。福岡市、東川町、大井沢地区では、地域が主体的に動き、様々な仕事が生み出されています。このような地域は魅力的に映るため、移住する動きもあります。一人一人のやりたいことが地域でできることが、人口減少の中でも持続可能な地域を作っていく時に必要です。

高校生へのメッセージ

毎日の生活は当たり前のように思えます。本当にそうでしょうか? 日々、社会は大きく変わっています。古典的ですが、高校生の時から新聞を読んでみてください。世界の変化が俯瞰できます。

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