授業編

人の行動を変える「もの」を考える

経済学部 経営学科

相原 章 教授

仕事に対するやる気を引き出すには?

企業等が常に抱えている課題の一つは、働いている人たちの力を集め活用すること。そして、成果に結びつけること。でもその解決はなかなか難しいようです。おそらく彼らの仕事に対する価値観が多種多様だからでしょう。そうした状況を変える「もの」は何かについて、ここでは考えてみたいと思います。

魅力的な“ギミック”が行動を変える

人の力を引き出すことを考える上で出現頻度の高い言葉にモチベーション、コミットメントなどがあります。中でも、承認欲求、内発的動機、自尊心、自己効力感などは実践的示唆に富む言葉です。今回は、これらの言葉からの示唆や含意を具現化したものを、大阪大学の松村真宏教授が考案した『仕掛け』の考え方に倣い、ギミックとして取り上げます。ちなみに、ここではギミックを魅力的で公平なもの(一部の者だけが得をすることがないもの)と考えています。

環境に依存しない手法が効果大

例えば、ミーティングの参加者から積極的に意見を募りたい状況があるとします。進行役が発言しやすい場をつくり生産的な議論ができればそれに越したことはありません。ただ、このやり方が機能するかは進行役の力に依存します。ギミックは、進行役の属性による影響をあまり考えずに活用することができます。オープンキャンパスのミニ講義では、参加者からの質問やコメントを講義中に随時受け付け即答するギミックとしてGoogleフォームを利用してみました。

まずは自分自身のやる気スイッチを押してみよう!

驚くほどの沢山の質問やコメント等を頂けたことから、Googleフォームを利用しないときよりも、参加者の知りたいスイッチを押すトリガーとして機能したこと、また参加者ニーズを収集できた点において及第点を与えることができるかもしれません。ただし、ギミックによる効果はそれだけに留まらない可能性を秘めていて持続的な取り組みが肝要であること、また、誰でも逆算の発想でギミックを考案して試せることを知っておくことはとても大事です。先ずは自らの行動を変えるギミックを考え実践することから始めてはどうでしょう。

高校生へのメッセージ

経営学科は、学生の皆さんが社会人になってから活躍する場面をイメージし、そこから逆算してカリキュラムが設計されています。また、時流に合わせた科目の新設も実施しています。スマホやタブレットで興味関心のある記事等を読みつつも、お気に入りの小説などは紙で読むことを強く推奨します。情報を消費するのではなく、著者との対話をする感覚や、物語の一部になる感覚を身につけてほしいと思います(根気強く読む時間が必要ですが・・・)。

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