授業編

社会志向のマーケティングとは?

経済学部 経営学科

中川 正悦郎 准教授

効果的なマーケティングは、顧客に対する深い理解から

マーケティングとは、簡単にいえば「製品・サービスが売れるための仕組みづくり」のことです。つまり、自社の製品・サービスを効果的に販売するために、製品・価格・流通チャネル・プロモーションという4つの手段を組み合わせて具体的なマーケティング活動を計画し、展開します。そして、効果的なマーケティングを実現するためには、当然ですが顧客に対する深い理解が求められます。競合企業よりも、より的確に顧客のニーズを捉えて、それに合った製品・サービスを開発することは重要な課題といえます。

顧客理解に加え、社会への配慮も重要に

ただし、今日のマーケティングでは、「顧客」という視点に加えて、「社会」という視点も考慮することが重視されるようになってきています。つまり、自社の製品・サービスが社会にとって良い影響を与えているのかという社会的な配慮も求められるということです。例えば、自然に還元可能な原材料を使った製品や、廃棄する際に製品パッケージを減容化※できゴミの削減につながる製品などの環境配慮型製品があげられます。

※廃棄物などの容積を減らすこと

マーケティング手法を活用した社会課題の解決

また、さらに積極的に社会的課題の解決に関わっていくという動きも見られます。例えば、キリンビバレッジ株式会社が輸入・販売を行うミネラルウォーターのVolvicでは、「1ℓ for 10ℓ(ワンリッター フォー テンリッター)」と呼ばれるプログラムを展開し、清潔な水にアクセスが難しい地域で井戸や給水施設をつくる活動の支援を行いました。このようなマーケティングの手法はコーズ・マーケティングと呼ばれるものです。

社会貢献が、マーケティング活動の重要な要素に

近年は消費者のエコ意識や社会貢献意識が高まっており、消費者が買い物の際に、こうした社会的配慮がされた製品であるかが製品選択基準の一つになることも増えてきました。そのため、企業がマーケティング活動の中で社会的な配慮を行うことは、社会の一員としての責任を果たすという意味で当然必要なことですが、さらに顧客からの支持を得るという意味においても、その重要性はますます高まっていると言えます。

高校生へのメッセージ

マーケティングで扱う現象は、私たちの生活の身近にあるものです。例えば、店頭で見かけた新商品が、消費者の目にとまるためにはどのような仕掛けがされているのかなど考えてみるとマーケティングの面白さを感じられると思います。

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