環境の時代の到来
2015年9月末にニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、『持続可能な開発のための2030アジェンダ』(いわゆるSDGs)が採択され、テレビでもほぼ連日、何らかの形でSDGsについて触れられています。「脱炭素」は、今日では、世界的命題となっており、環境の時代の到来であるといえるでしょう。その一方で、「COP25」や「COP26」で地球温暖化対策に積極的でないとして「化石賞」を受賞しているのが日本の現状です。世界の再生可能エネルギー比率をみても、2020年の値で、ドイツ45%、イタリア43%、イギリス42%、中国27%、フランス23%、日本22%、アメリカ20%となっており、日本の比率は必ずしも高くありません。今後、日本の取り組みをますます発展させていかなければならないでしょう。
環境行動を促進する環境保護意識のために
環境の時代の到来ということもあり、多くの人は環境を保護しようとしなければいけないと考えているかもしれません。では意識が行動に結びつくかといえば、必ずしもそうではありません。アンケート調査を用いた分析では、環境保護意識とゴミ分別行動が一致しないという結果もあります。考えてみれば、ゴミの分別は手間暇がかかりますし、すぐに成果がみえにくいかもしれません。環境保護意識が高くても、ゴミ分別行動に至らない可能性も十分あると考えられるのです。
意識と行動の不一致を改善するためには、環境保護意識に教育の効果がみられていることから、たとえば授業でゴミ分別を容易にする方法を考える機会を設けるといった方策があるでしょう。
再生可能エネルギーを活用した価値創造
先にみたように、ドイツは再生可能エネルギー比率が高いですが、その一因として、地域資源を活用した発電による「価値創造」といった考え方が浸透している点が挙げられます。ドイツでは、バイオマスなどの資源を用いて地域を活性化しようとする「バイオエネルギー村への道」プロジェクトが2005年から進められていますが、バイオエネルギー村の数は2021年現在、170あります。
地方創生やエネルギー安全保障への視点
原油や天然ガスを産油国から購入すると、資金は日本から産油国に流出しています。しかし、地域にある地熱、バイオマスなどを活用しエネルギーを作れば、資金の流出が少なくてすみます。エネルギー自給率が100%を超えれば、エネルギーを売電でき、資金獲得の手段になります。ドイツのバイオエネルギー村では、このような「価値創造」の考え方が浸透しており、活気に満ちています。日本も、地方創生やエネルギー安全保障という視点から見習う点があるのです。