社会保障は、生活保障に関する政策・制度の総称
社会保障とは、人々の生活保障に関する政策・制度の総称であり、生活保障とは、人生で遭遇しうるリスク(ケガ・病気、失業、要介護状態、老齢、貧困)とニーズ(子育て支援、障害を持つ人への介助など)に対する給付をさします。
4つに分けられる社会保障の制度
社会保障の制度は、社会保険、公的扶助、社会手当、社会福祉の4つに分けられます。社会保険は、人生で遭遇しうるリスクに備えて、あらかじめ保険料を拠出しておくと、そのリスクに遭遇した場合に給付を受けられるというものです。日本には、医療保険(健康保険)、労災保険、年金保険、失業保険(雇用保険)、介護保険の5種類があります。公的扶助は、生活に困窮する場合に、自ら福祉事務所に申請して、ミーンズテスト(本当に困窮しているかを確認するための調査)を経て受けられる給付であり、日本では生活保護と呼ばれます。社会手当は、一定の要件に該当する人への現金給付であり、中学3年生までの子を持つ親に支給される児童手当などがあります。社会福祉は、ニーズを抱えた人を対象とした相談・援助であり、高齢者福祉、障害者福祉、児童家庭福祉といった種類があります。
生活保護の利用しにくさなど、様々な課題を抱えている
このように多岐にわたる内容を含む社会保障ですが、現在において、様々な課題を抱えています。たとえば、公的扶助である生活保護の利用しにくさが挙げられます。日本では、生活保護の不正受給、すなわち、濫給(困窮していないにも関わらず生活保護を受給すること)についてはよく報道されますが、漏給(困窮しているにもかかわらず生活保護を受給していないこと)についてはあまり報道されません。規模的にも金額的にも漏給のほうが圧倒的に大きな問題であるにもかかわらずです。日本の生活保護の捕捉率(その国の困窮者数に占める、公的扶助の給付を受給している人の割合)は10.8%であり、諸外国の捕捉率(ドイツ100%、アメリカ76.7%、韓国23.2%など)と比較すると顕著に低くなっています。日本の捕捉率がそのように低くなっている原因を分析し、引上げを図ることが急務となっています。
人々の生活を支える、かけがけのない制度
最後に、人々の生活を、まさに「ゆりかごから墓場まで」支えるかけがえのない存在である社会保障制度について、その歴史・現状・課題に、是非とも普段から興味を持ってみてください。