経営学に関心を持ったのは高校2年生の頃でした。ビジネスデザイナーである濱口秀司さんの講演を聴く機会があり、アカデミックな観点からのマーケティング分野について関心を持ちました。また、イノベーションをアカデミックにとらえることは難しいという内容に疑問を持ったのが学びの原点です。学部生時代に在籍した産業能率大学には実務系出身の先生や実学志向の学生が多かったため、学術分野に関心を持ち、将来は大学院進学もぼんやりと考えていた私は珍しい存在でした。それもあり、1年次の頃からさまざまな先生と議論したり、マーケティング関連の学会に連れていっていただいたりする機会に恵まれ、より専門的な研究への関心が強まっていきました。
大学院進学で大切なのは、学びたい先生を探すことです。学部生時代の先生方からの「幅広く探すべき」というアドバイスに従い、さまざまな先生の研究に接するうちに、現在の指導教員である遠藤健哉教授の論文に出合いました。流麗な文章で、研究テーマも面白かったですし、SNSにアップされた動画で話す様子も分かり、この先生のもとで学びたいという思いを抱くように。社会イノベーション研究科での学びの見通しをつけるため、ほかの先生方の論文にも目を通しました。大学4年次に、遠藤先生と話す機会もあり、進学の後押しとなりました。
現在は、地方銀行や小売業といった非製造業を対象に、社長、取締役、執行役など経営層の意思決定や、それらが企業のパフォーマンスに及ぼす影響について分析しています。特に関心があるのは、経営陣と取締役における関係性の影響です。分析対象とする企業の有価証券報告書といった公開情報からデータ収集して分析したり、学部の先生に同行して、全国各地の地方銀行の頭取や社外取締役の方から話を聞いたりしています。また、博士論文では、組織におけるあるチームとほかのチームとの関係が、その組織にどのような影響を及ぼすのかについて取り上げようと考えています。このテーマの先行研究は少ないため、自分の考えや質問、疑問を先生にぶつけ、そのフィードバックをもとに、さらに研究を深めています。研究を深めていくためには独学が重要だと思いますが、成城大学大学院は少人数なので、授業やゼミなどはほぼマンツーマンの状態で、指導教員以外の先生方との距離も非常に近い、恵まれた環境です。研究に限らずプライベートなことまでさまざまな話ができ、人としての視野も広がります。在籍中に研究成果を上げ、将来、研究職として活躍できる足がかかりをつくりたいです。
※記事内容・写真は2024年取材時のものです。