多様な領域に触れながら、
自身の研究を深く、鋭く追究する。

文学研究科 ヨーロッパ文化専攻 博士課程前期

成城大学 出身

ヨーロッパ文化を幅広く学べる環境で、
西洋最古のギリシア文学作品を研究する。

大学時代は成城大学の文芸学部ヨーロッパ文化学科で、古代ギリシアの詩人であるホメロスの作品『イリアス』をテーマに卒業論文を執筆しました。『イリアス』は、西洋最古の文学作品ともいわれ、トロイア戦争が描かれた叙事詩です。この研究をさらに深めたいと思い、ヨーロッパ文化について幅広く学ぶ環境が整っている成城大学大学院へ進学。現在は、卒業論文を引き継いで『イリアス』に加え、『オデュッセイア』の2作品を取り上げ、作中に登場する「弓」に着目して主に戦闘場面の分析を行っています。

先行研究の少ないテーマに着目し、
多方面から仮説を立証。

『イリアス』『オデュッセイア』は、ギリシア文学とギリシア神話に大きな影響を与えた作品です。そのような作品を「弓」の視点から深めていこうと考えたきっかけは、一騎打ちが基本だった古代ギリシアの戦闘場面で、遠距離から攻撃するため「臆病者の武器」という独特な立ち位置にあった「弓」が、物語の重要な展開に関わってくることを不思議に感じたこと。先行研究も少なく、面白さを感じ、研究を始めました。卒業論文の段階では、「弓」が運命の絶対性を強調する役割を担っているのではないか、と結論づけ、修士論文でその論を補強する考察を進めているところです。こうした自分の研究を進めつつ、授業ではヨーロッパ文化に関する多様な領域に触れられるので、例えばフランスやドイツの哲学など、自分では気づけない意外な領域で研究とのつながりを発見することも。本専攻の特徴である研究領域の広さによい影響を受けていると実感します。また、先生方との距離が非常に近く、さまざまな専門分野の先生に研究や将来に関する相談ができる魅力的な環境です。

多言語への対応力も研究のエンジンに。
身につけた力を将来に活かしたい。

ヨーロッパ文化を探究する上で、言語が果たす役割も重要です。私が研究しているホメロス作品も原文はギリシア語であり、先行研究の多くは英語やドイツ語で書かれています。ヨーロッパ文化の研究ではフランス語、イタリア語など多言語が必要となる場面もあり、早めに習得しておくとよいかもしれません。大学院での研究を通じて、根気強く資料を読み込んでいく調査力や言語能力、分かりやすく伝えるための論理的思考力が身につきました。将来は、市場調査やマーケティング調査などの仕事で、培った力を活かしてみたいと考えています。

※記事内容・写真は2025年取材時のものです。