世界で複雑に絡み合う問題を解明したい。
社会人、主婦の経験を学びに活かす。

経済学研究科 経済学専攻 博士課程前期

成城大学 出身

大学卒業から40年を経て、
大学院での学び直しを決意。

大学卒業後、マスコミ関連や建設系コンサルティング会社で働き、結婚後は主婦として暮らしていました。大学院進学を考えるようになったのは、2020年に発生した新型コロナウイルスや2022年に勃発したウクライナ侵攻がきっかけです。世界のあちこちで起こっている、複雑に絡み合う問題の根源をアカデミックな側面から理解したいという思いが強まっていきました。そこで、出身大学である成城大学に問い合わせたところ、学部生時代にお世話になった先生と関係の深い先生がいらっしゃると聞き、マックス・ウェーバーを導きの糸として、40年ぶりの学び直しとして大学院進学を決めました。

ディスカッションや文献研究を重ね、
荻生徂徠の「政治の発見」を切り口に、政治課題を論じる。

学部生時代の卒業論文は、「現代社会と科学的国家独占資本主義」がテーマでした。国家が資本主義を支配する、逆に支配されるといった内容を、当時、悩みながらも論じていったのですが、指導担当の先生からは、「テーマが大きすぎて結局、何も書かれていない」と厳しいご意見をいただきました。そして、修士論文のテーマについて先生方とディスカッションを重ね、さまざまな文献を調べる日々が続きました。このテーマ選定が非常に難しく、私が研究したいと思っていることの解明につながるテーマにたどり着くまでに1年ほどの時間がかかりました。最終的に、ファシズムが横行する原因を江戸時代にさかのぼり、儒学者である荻生徂徠から切り込んでいった丸山眞男の助手論文「徂徠論」から『現代社会と丸山眞男-「徂徠論」にみる「政治の発見」の淵源-』を論文タイトルに据えました。

社会経験が、理論を理解する補助線に。
理論と実践の両面から学びが深まる。

大学院は、追究したいことを明確に持っている場合、本当に学びの多い場です。そして、当然ですが勉強量も非常に多いと感じます。私自身、進学するまではどの程度、学びの時間が必要なのか見当がつかなかったのですが、今は大学院でも自宅でも四六時中、書物を抱え、論文に向き合っています。また、一度社会に出ていることが強みとなる部分も。例えば、アダム・スミスの『道徳感情論』を学んだとき、社会で実際に体験したことと照らし合わせて考えられるので、実感を持って理解を深めることができます。さまざまな理論が机上の空論ではないと分かることも、学びの面白さにつながっているかもしれません。

※記事内容・写真は2024年取材時のものです。