成城大学を卒業してから、NHKの番組の美術セットを制作・運用する株式会社NHKアートに勤めています。もともと舞台や映画の裏方の仕事に憧れていたこともあり、入社を決めました。今は美術進行というポジションで、デザイナーが考えたセットプランの制作に向けて、大道具や小道具、電飾、扮装などの各セクションとやり取りし、予算に合わせた調整を行っています。プランに適した業者を選定したり、予算配分を考えたりする立場で、セットのできあがりに大きく影響する仕事といえます。だからこそ、無事に完成した時の達成感が大きく、やりがいを感じています。
成城大学では、文化史学科で民俗学を専攻していました。授業でもゼミでも、研究対象の文化を理解するためのフィールドワークを行う機会が多く、時間をかけて人との関係性を築き、対話を深めるという方法を体感的に学んできました。その経験が、今も活きています。番組制作スタッフやセット製作会社など、さまざまな立場の人と対話し、相手の希望を理解しながら進行することで、業務を円滑に進められています。関係を築くことで多少の無理も相談させてもらえる仲になり、自分も仕事を進めやすく、結果として良いセットができます。学生のうちに対話の経験を積めたことは、とても大きい財産だと感じています。
在学中はキャリアサポーターとして活動し、大学説明会や入学時のオリエンテーションの補助などをしていました。イベント時に大勢の前で話す機会が多く、初めて接する方に情報を届け、対話するコツが学べたと感じています。キャリアサポーターの仲間と一緒に練習したり、場の空気をつくる方法を考えたりする時間も楽しかったです。在学中に、マレーシアでの海外インターンシップも経験しました。英語は苦手だったのですが、できないと投げ出さずに、現地の人と英語でコミュニケーションを取ろうと努力できたことが、今の私の自信につながっていると思います。また、就職活動中、うまくいかない時期にキャリアカウンセラーの方からアドバイスをいただいたり、自己分析の手助けをしていただいたりと、キャリアセンターに大変お世話になりました。
5年間働いてきて、ようやく仕事のペースをつかめてきた感覚があります。時期によって忙しさに差があったり、番組収録が続くと体力を消耗したりと、慣れるまでに時間がかかりましたが、楽しく働けています。いままで携わってきた情報番組以外に、ドラマの現場や、展示会などの設営にも興味があるので、周囲の方々とコミュニケーションを取りながら、いろいろな現場に関われたらと思っています。これからも仕事を楽しみつつ、日々の生活とのバランスも取り、健康に過ごしていくことが目標です。
※記事内容・写真は2023年取材時のものです。